近年では、学習障害を抱える児童や社会人が増加してきました。しかし、実際に社会環境や学習環境の変化によって、ハンディキャップを抱える人が増えたと解釈するのは早計です。むしろ、ようやく日本国内でも学習障害の認知度が上がり、専門家の診断を受ける人々が増えた結果だといえるでしょう。
学習障害を抱える人は、ひと昔前から確認されています。学習障害という概念がなかった時代においては、診察を受けることができなかったため、統計調査に反映されていないのです。
ですが、現代では学習障害を含む発達障害全般の理解と認知が、医療関係者や教育関係者の間で進みました。その結果、今までは不真面目な生徒、意欲が低い新人とレッテル貼りをされていた人が、実は学習障害だとわかり、適切な支援と個性に沿った環境で学習できるようになってきたのです。
諸外国に比べて、日本の発達障害全般への理解と支援はまだまだ充分ではありません。ただ、志の高い専門家や発達障害に特化した医療機関、支援団体が国内で続々と普及しています。
今後、学習障害の児童をどのように支援していくのか、社会人の学習障害をどのようにケアすべきかが、社会全体が取り組むべき課題といえるでしょう。
また、多くの人が学習障害に関する正しい知識を持つことが重要です。学習障害を抱える人と柔軟にコミュニケーションを取って障害を直接克服しようとするのではなく、どうすれば建設的に課題を乗り越えられるか、あるいは別のアプローチはないかなど、二人三脚で支援するのが理想的といえます。